臨界管理に関する検討

目的

  1. RPV/PCV 内に存在する燃料デブリが臨界に至ることがないように臨界が発生するリスクを適切に管理していく。
  2. 万一、臨界に至った場合又は臨界の可能性がある場合に、未臨界にする又は臨界を防止し、放射性物質の外部への大量放出を防ぐ。

本文

  1. 各号機のPCV ガス管理設備に設置されたガス放射線モニタで、短半減期FP であるXe-135 濃度を常時監視している。臨界判定基準を1Bq/cm3としているが、臨界の兆候は見られていない。また、燃料デブリの組成や形状、堆積形状、構造材の組成や混合量等について種々の条件で評価を実施し、臨界になる可能性は低いと評価されている。

  2. 燃料デブリが再臨界に至った場合又は再臨界の可能性がある場合に、未臨界状態に戻す又は臨界を防止するために、ホウ酸水注入設備が設置されている。ホウ酸水タンクは2 基設置されており(内1 基は予備)、構造物への影響が少ない弱アルカリ性の五ホウ酸ナトリウム水溶液が、原子炉注水系を通じて注入される。本設備は、5%Δk 以上の反応度に相当する510ppm のホウ素濃度を達成できる能力を有する。なお、ホウ酸水が枯渇した場合には、約3%Δk の反応度低下効果を有する海水が注入される。臨界発生から注入完了までの時間は、通常6 時間、設備損傷時等を想定しても最長で22 時間である。

  3. 再臨界時の影響評価として、保守的に、臨界判定基準の100 倍のXe-135 濃度に相当する出力レベルの臨界状態が1 日続いたとして敷地境界における被ばく線量を評価した結果2.4×10-2 mSv となり、公衆に著しい影響を及ぼすことはないとしている。


参考文献