廃止措置等に向けた進捗状況:循環冷却と滞留水処理ライン等の作業
至近の目標
原子炉冷却、滞留水処理の安定的継続、信頼性向上
注水冷却を継続することにより低温での安定状態を維持するとともに状態監視を補完する取組を継続。
地下水流入により増え続ける滞留水について、流入を抑制するための抜本的な対策を図るとともに、水処理施 設の除染能力の向上、汚染水管理のための施設を整備。
進捗状況のポイント
(1)循環注水冷却の信頼性向上
- 原子炉注水ラインの配管のうち耐圧ホースからの漏えい等に対して、より信頼性の高いポリエチレン管への取替を実施。
- 原子炉注水システムの適切なバックアップ設備を確保(注水ポンプ:3系統、水源:2種類、複数の母線から電源を確保など)。万一、事故により、原子炉注水に係る複数の設備が同時に機能喪失したとしても、3時間程度で消防車による原子炉注水の再開が可能。
(2) 滞留水処理施設の信頼性向上
- 滞留水の移送ラインの主ルートに使用していた耐圧ホースからの漏えい等に対して、より信頼性の高いポリエチレン管等への取替を実施。
- 外部環境への漏えい拡大防止対策として、堰、土堰堤、監視カメラの設置、排水路の暗渠化を実施。
- 移送ラインの縮小化を検討中。
(3) 滞留水への多面的な対応
- 原子炉建屋への地下水流入により増え続ける滞留水の低減を図るため、地下水バイパスやサブドレン復旧による地下水流入抑制対策について検討及び現地工事等を実施中。
- 汚染水中の放射性物質の除去のため、多核種除去設備の現地工事等を実施中。
- 貯水タンク増設計画を策定し、タンクの増設を実施中。
循環注水冷却設備・滞留水移送配管の信頼性向上
- 3号機CSTを水源とする原子炉注水系の運用を開始(2013/7/5~)。従来に比べて、水源の保有水量の増加、耐震性向上等、原子炉注水系の信頼性が向上。
- 汚染水の漏えいリスクを低減するため、淡水化(RO)装置を4号機タービン建屋に設置。汚染水の移送、水処理、原子炉注水を行う循環ループを縮小する。新設したRO装置は10/7運転開始し、10/20より24時間運転。RO装置を建屋内に新設することにより、循環ループは約3kmから約0.8km※に縮小。
※ 汚染水移送配管全体は、余剰水の高台への移送ライン(約1.3km)を含め、約2.1km
原子炉建屋への地下水流入抑制
サブドレン水を汲み上げることによる地下水流入の抑制
- 建屋へ流れ込む地下水の量を減らすため、建屋周辺の井戸(サブドレン)からの地下水のくみ上げを2015/9/3より開始。
くみ上げた地下水は専用の設備により浄化し、水質が運用目標未満であることを東京電力及び第三者機関にて確認した上で排水。
地下水バイパスにより、建屋付近の地下水位を低下させ、建屋への地下水流入を抑制
- 山側から流れてきた地下水を建屋の上流で揚水し、建屋内への地下水流入量を抑制する取組(地下水バイ パス)を実施。くみ上げた地下水は一時的にタンクに貯留し、東京電力及び第三者機関により、運用目標未 満であることを都度確認し、排水。揚水井、タンクの水質について、定期的にモニタリングを行い、適切に運 用。建屋と同じ高さに設置した観測孔において地下水位の低下傾向を確認。建屋への地下水流入をこれまでのデータから評価し、減少傾向を確認。
1~4号機建屋周りに陸側遮水壁を設置し、建屋への地下水流入を抑制
- 建屋への地下水流入を抑制するため、建屋を囲む陸側遮水壁の設置を計画。
- 2014/6/2から凍結管の設置工事を実施し、2016/2に凍結設備の工事完了。
- 2016/3より海側及び山側の一部、2016/6より山側95%の範囲の凍結を開始。2016/12より、山側未凍結箇所7箇所のうち2箇所の凍結を開始。
- 2016/10、海側において海水配管トレンチ下の非凍結箇所や地下水位以上などの範囲を除き、凍結必要範囲が全て0°C以下となった。
滞留水の処理にあたっての基本方針
- 滞留水の処理にあたっては、以下について必要な検討を行い、これを踏まえた対策を実施することとし、汚染水の海への安易な放出は行わないものとする。
- 増水の原因となる原子炉建屋等への地下水の流入に対する抜本的な対策
- 水処理施設の除染能力の向上確保や故障時の代替施設も含めた安定的稼働の確保方策
- 汚染水管理のための陸上施設等の更なる設置方策
- なお、海洋への放出は、関係省庁の了解なくしては行わないものとする。
今後の課題・対応の方向
外部環境への漏えい防止対策の継続
- 万一の漏えいに備えて、今後設置するタンクについても、堰や土堰堤を設置し、海への漏えいを防止するとともに、巡視点検等による漏えい監視を行う。