冷却に関する検討

目的

  1. 燃料デブリを十分に冷却できずに燃料デブリの温度が上昇すると燃料デブリ内の放射性物質が放出されるリスクがあるため、燃料デブリの冷却とその状況を推定・管理する。

本文

  1. 東京電力は、原子炉の温度等のパラメータを継続監視するとともに燃料デブリの冷却設備の保守管理を実施している。燃料デブリの冷却設備である循環注水冷却設備は、2013 年7 月より主たる水源をバッファタンクから復水貯蔵タンク(以下「CST」という。)に変更するとともにCST 原子炉注水系の運用を開始している。これにより、炉注水ラインの縮小による注水喪失リスクが低減されるとともに、タンクに関して耐震性向上及び容量の増加等が図られている。さらに、循環注水冷却設備のうち、塩分除去(RO)装置を4 号機タービン建屋に設置して循環ループを縮小する工事を現在進めている。この工事により循環ループ(屋外移送配管)は約3 km から約0.8 km(滞留水移送ラインを含めると約2.1 km)に縮小される。

  2. 原子炉の温度等のパラメータは、上記で述べたとおり事故直後より低下して安定した値を示すようになっており、RPV 及びPCV 内の温度も継続的な冷却及び崩壊熱の減少により、安定的に低下傾向を示してきていることから,安定した冷温停止状態を維持していることが推定できる。

  3. 実施計画において、確率論的リスク評価による原子炉注水系のリスク評価では、炉心再損傷頻度が約5.9×10-5/年と評価されており、「施設運営計画に係る報告書(その1)(改訂2)(2011 年12 月)」で評価された2.2×10-4/年の炉心再損傷頻度からリスクが低減していることが確認できる。また、原子炉注水系の異常時の評価では、想定を大きく超えるシビアアクシデント相当事象(注水停止12 時間)で3 プラント分の放射性物質の放出を考慮した場合においても、実効線量は敷地境界で約6.3×10-5mSv/年、特定原子力施設から5 km 地点で約1.1×10-5mSv/年、特定原子力施設から10 km 地点で約3.6×10-6mSv/年であり、周辺の公衆に対し、著しい放射線被ばくのリスクを与えることはないとしている。


参考文献