東京電力(株)福島第一発電所1~4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップの進捗状況と課題(概要)
取り組みの状況
1~3号機の原子炉・格納容器の温度は、この1か月、約15°C~約25°C;※1で推移しています。また、原子炉建屋からの放射性物質の放出量等については有意な 変動がなく※2、総合的に冷温停止状態を維持していると判断しています。
※1 号機や温度計の位置により多少異なります。
※2 1~4号機原子炉建屋からの放出による被ばく線量への影響は、2017年1月の評価では敷地境界で年間0.00029ミリシーベルト未満です。なお、自然放射線による被ばく線量は年間約2.1ミリシーベルト(日本平均)です。
1号機原子炉建屋カバー壁パネル取り外し完了
- 1号機原子炉建屋最上階のガレキ撤去に向けて、9/13より建屋カバー壁パネルの取り外し作業を開始し、11/10に全18枚の取り外しが終了しました。
- 現場及び敷地境界付近に設置されたダストモニタにおいて、作業に伴う有意な変動は確認されていません。
- 崩落した屋根下部のガレキ状況調査を建屋側面から実施しています。その後、2017年3月頃より建屋カバーの柱・梁を改造し、防風シートを設置します。
壁パネル取外し状況
陸側遮水壁の状況
- 陸側遮水壁(山側)は、未凍結7箇所を段階的に凍結閉合しています。うち2箇所は12/3に凍結を開始し、補助工法を実施(2/8完了)した結果、補助工法を実施した範囲は、0°C以下となっています。今後、残りの5箇所のうち4箇所の凍結を開始する予定です。また、凍結に先立ち補助工法を2/22から開始しています。
- 陸側遮水壁(山側)の効果は、地下水位・建屋流入量・サブドレン汲み上げ量・4m盤への地下水移動量から、今後評価していきます。また、陸側遮水壁(海側)についても引き続き、評価を行ってまいります。
陸側遮水壁の凍結範囲
原子炉注水量の低減
- 2016/12/14より1号機原子炉への注水量を毎時4.5m3から毎時4.0m3に、2017/1/5に毎時4.0m3から毎時3.5m3に、1/24に毎時3.5m3から毎時3.0m3に低減しました。いずれにおいても原子炉圧力容器底部等の温度は想定範囲内で推移しています。
- 建屋内汚染水の浄化促進に向け、1号機と同様に、3号機原子炉への注水量を毎時4.5m3から低減し、2/22に目標注水量3.0m3へ達しました。原子炉圧力容器等の温度は想定範囲内で推移しています。
- また、3号機原子炉への注水量低減に先立ち、2/7から1~3号機原子炉圧力容器底部温度等のプラントパラメータのリアルタイムデータ公開を開始し、1時間毎に温度等の推移のグラフを更新しています。
1号機原子炉格納容器内部調査に向けて
- 2015年4月に実施した、1階グレーチング上の調査結果を踏まえ、ペデスタル外地下階へのデブリの広がり状況を調査するため、3月に自走式調査装置を投入します。
- 調査では、1階グレーチングからカメラ等を吊り下ろし、地下階の状況を確認する予定です。
調査イメージ
2号機原子炉格納容器内部調査結果
- 2号機原子炉格納容器ペデスタル※内のデブリ落下状況を調査するため、1/26,30にガイドパイプを用いた原子炉格納容器内部の事前調査、2/9に自走式調査装置アクセスルート上の堆積物除去、2/16に自走式調査装置を用いた格納容器内部調査を行いました。
- 今回の一連の調査で、ペデスタル内のグレーチングの脱落や変形、ペデスタル内に多くの堆積物があることを確認しました。
- 得られた情報を評価し、燃料デブリ取り出し方針の検討に活用していきます。
※:原子炉圧力容器を支える基礎
(参考)5号機のペデスタル内
(参考)ペデスタル内部の状況
3号機燃料取り出し用カバー等設置工事の進捗
- 3号機の燃料取り出しに向けて、燃料取り出し用カバー等設置工事に1月より着手しました。2/7に西側ストッパ、2/13に東側ストッパの設置(吊り込み)が完了しました。3月よりFHMガーダを設置する計画です。
- 引き続き、安全第一に作業を進めてまいります
ストッパ設置状況
港湾内海底土被覆完了
- 港湾内海底土について、放射性物質の拡散防止のために実施した1層目の被覆(2015年4月完了)に加え、耐久性向上のための2層目の被覆工事が2016/12/26に完了しました。
海底土被覆イメージ
労働環境改善に向けた作業員へのアンケート結果
- 発電所で作業される作業員の方々の労働環境の改善に向け、アンケート(7回目)を実施し、約89% (6,182人)の作業員の方からアンケートの回答を頂きました。前回調査結果と比べ、労働環境に対する評価は更に改善傾向にあります。
- また、不適切な就労形態が疑われる回答(労働条件の説明の未実施等)が確認されたことから、雇用企業が特定できたものに関し実態調査を行い、適切に取り扱われていることを確認しました。
- 引き続き、作業員の皆さまから頂いたご意見を踏まえ、改善を行っていきます。
※モニタリングポスト(MP-1~MP-8)のデータ
敷地境界周辺の空間線量率を測定しているモニタリングポスト(MP)のデータ(10分値)は0.503μSv/h~2.100μSv/h(2017/1/25~2/21)。
MP-2~MP-8については空間線量率の変動をより正確に測定することを目的に、2012/2/10~4/18に、環境改善(森林の伐採、表土の除去、遮へい壁の設置)の工事を実施しました。
環境改善工事により、発電所敷地内と比較して、MP周辺の空間線量率だけが低くなっています。
MP-6については、さらなる森林伐採等を実施した結果、遮へい壁外側の空間線量率が大幅に低減したことから、2013/7/10~7/11にかけて遮へい壁を撤去しました。