廃止措置等に向けた進捗状況:使用済燃料プール(SFP)からの燃料取り出し作業
至近の目標
1~3号機使用済燃料プール内の燃料の取り出し開始
耐震・安全性に万全を期しながらプール燃料取り出しに向けた作業を着実に推進。4号機プール燃料取り出しは2013/11/18に開始、2014/12/22に完了。
4号機
燃料取り出し状況
- 中長期ロードマップでは、ステップ2完了から2年以内(~2013/12)に初号機の使用済燃料プール内の燃料取り出し開始を
第1期の目標としてきた。2013/11/18より初号機である4号機の使用済燃料プール内の燃料取り出しを開始し、第2期へ移
行した。 - 燃料取り出し作業開始から1年以内となる2014/11/5に、プール内の使用済燃料1,331体の共用プールへの移送が完了した。
残りの新燃料の6号機使用済燃料プールへの移送は、2014/12/22に完了。(新燃料2体については燃料調査のため2012/7
に先行して取り出し済) - これにより、4号機原子炉建屋からの燃料取り出しが完了した。
- 今回の経験を活かし1~3号機のプール燃料取り出しに向けた作業を進める。 ※写真の一部については、核物質防護などに関わる機微情報を含むことから修正しております。
原子炉建屋の健全性確認
- 定期的な点検を実施。建屋の健全性は確保されていることを確認。
3号機
- 燃料取り出し用カバー設置に向けて、プール内大型ガレキ撤去作業が2015年11月に完了。
- 安全・着実に燃料取り出しを進めるために、現場に設置する燃料取扱設備を用いて、工場にて遠隔操作訓練を実施(2015年2月~12月)。
- 原子炉建屋最上階の線量低減対策(除染、遮へい)を、2016年12月に完了。
- 2017年1月より燃料取り出し用カバー・燃料取扱設備の設置作業を実施中。
3、4号機使用済燃料プール内ガレキ分布調査
- 水中カメラや遠隔水中探査機(ROV)を用いて、使用済燃料プール内ガレキ分布調査を実施。
- 調査結果をもとに、使用済燃料取出し前の水中ガレキ撤去計画を立案する。
1号機
壁パネル取り外し状況
- 1号機使用済燃料プールからの燃料取出しについては、オペレーティングフロア(※1)上部に、燃料取り出し専用カバーを設置する計画。
- このプランの実施に向け、放射性物質の飛散抑制対策を徹底した上で、建屋カバーを解体し、オペレーティングフロア上部のガレキ撤去を実施する。
- 2016/11/10、建屋カバーの全ての屋根パネル・壁パネルの取り外し完了。
- オペフロのガレキ状況の調査を行った後、建屋カバーの柱・梁を改造し、防風シートを設置する。引き続き、放射性物質の監視をしっかりと行っていく。 (※1)オペレーティングフロア(オペフロ):定期検査時に、原子炉上蓋を開放し、炉内燃料取替や炉内構造物の点検等を行うフロア。
建屋カバー解体の流れ(至近の工程)
2号機
- 2号機使用済燃料プール内燃料・燃料デブリの取り出しに向け、既存の原子炉建屋上部の解体・改造範囲について検討。作業の安全性、敷地外への影響、早期に燃料を取り出しリスクを低減させる観点を考慮し、原子炉建屋最上階より上部の全面解体が望ましいと判断。
- プール燃料と燃料デブリの取り出し用コンテナを共用するプラン①とプール燃料取り出し用カバーを個別に設置するプラン②を継続検討中。
共用プール燃料ラックの取り替え
- 共用プール内空きスペースの確保(乾式キャスク仮保管設備への移送)
現在までの作業状況
- 燃料取扱いが可能な状態まで共用プールの復旧が完了(2012/11)
- 共用プールに保管している使用済燃料の乾式キャスクへの装填を開始(2013/6)
- 4号機使用済燃料プールから取り出した燃料を受入開始(2013/11) (※2)キャスク:放射性物資を含む試料・機器等の輸送容器の名称
今後の課題・対応の方向
地震・津波時のリスクへの対応
- 地震・津波により、一次系/二次系ポンプ配管等が故障し、燃料プールが冷却できない状態になった場合に備え、十分な時間的余裕を持って冷却を再開できるようコンクリートポンプ車等代替注水設備配備済。
- この場合、水温上昇と水位低下が予想されるが、燃料プールの水位がある程度保たれている状態(燃料頂部より2mの水位:水遮へいが有効とされる水位)に至るまでの期間は、最短でも16日(4号機)と評価。
- 一方、非常用注水設備による冷却が困難で、コンクリートポンプ車等を用いた冷却を実施する場合でも、冷却の機能を喪失してから約6時間で冷却を再開できる見込み。
- 更に基準地震動の見直しへの対応を含め、新知見への対応を万全に行っていく。
工程に影響を与える可能性のある課題
- 燃料取り出しを計画通り実現するにあたっては、以下に示すような工程に影響を与える可能性のある課題を解決する必要がある。
- ガレキ撤去作業:現状、ガレキの落下状況や線量等未確認事項が多く、作業の長期化、追加の可能性がある。
- 燃料取り出し用カバー設置作業:建物の損傷や線量の状況等、現時点で不確定性の高い要素があり、作業の長期化、追加の可能性がある。
- プール燃料取り出し作業:想定以上に破損燃料割合が多い、あるいは燃料の損傷程度が想定以上の場合は、作業の長期化、追加の可能性がある。