廃止措置等に向けた進捗状況:プラントの状況把握と燃料デブリ取り出しに向けた作業
格納容器へのアクセス向上のための除染・遮へいに加え、格納容器漏えい箇所の調査・補修など燃料デブリ取り出し準備に必要となる技術開発・データ取得を推進
進捗状況のポイント
(1) 建屋内アクセスのための遠隔除染技術・工法の開発
- 建屋内での作業員の被ばく低減を目的に、除染に向けた検討を実施。
(2) 格納容器内部調査のための準備(漏えい箇所特定・補修、サンプリング調査等)
- 格納容器漏えい箇所特定・補修に向け、遠隔技術タスクフォースの下でロボット開発の検討を開始。
- ロボット開発に資するため、格納容器内部や原子炉建屋内三角コーナー及びトーラス室の調査を実施。
(3) 解析コードを活用した炉内状況把握、燃料デブリ性状把握のための基礎研究
- 炉内状況を把握するため、シミュレーションの解析コードの高度化及び解析を実施。
- 燃料デブリ取り出し・保管・処理・処分に資するため、デブリの性状把握のための基礎研究を開始。
建屋内の除染、総合的線量低減計画の立案
- 原子炉建屋内の汚染状況調査(線量率調査/汚染サンプル採取・分析)を行い、汚染形態に応じた遠隔除染装置の開発を実施中。
- 線量率調査結果から、建屋内線量率マップを作成し除染計画を立案中。採取した汚染サンプルをJAEAにて詳細に分析し、有効な除染方法を検討中。
- 原子炉建屋内の線量低減に資するため、除染/遮へい/機器撤去を含めた具体的な作業計画の立案に着手。
線量分布図作成イメージ
原子炉格納容器漏えい箇所調査、補修
- 遠隔技術タスクフォースの下、サプレッションチェンバ(S/C)水位測定ロボット基礎技術開発WG、水中遊泳ロボット基礎技術開発WGを設置し、検討を開始。
- 損傷評価の必要な部位を抽出した格納容器のバウンダリ部のリストに対し、シビアアクシデントの影響(地震、温度等)による損傷可否評価を行い、損傷可能性の有無について整理。その上で、調査が必要である場所を抽出し、当該部位への到達方法等の調査工法を検討。
- 既存技術の調査を行い、想定漏えい箇所の調査装置の設計および補修(止水)工法検討を実施中。
- 高線量区域での作業のため、ロボット開発を実施中。ロボットの仕様を確定するため、格納容器内部や原子炉建屋内三角コーナー及びトーラス室の調査を実施し、放射線量・滞留水水位・雰囲気温度等の諸データを採取。
- 建屋間止水材について水槽試験を実施し、可塑性グラウトの有効性を確認(平成24年3月)。
建屋間止水材の水槽試験概要
1~3号機原子炉建屋の汚染状況調査・除染作業
- 1~3号機原子炉建屋2~3階の線量低減方法の検討のため、遠隔操作ロボットを用いて1号機2,3階、2号機2,3階、3号機2階の線量率測定、ガンマカメラによる調査を実施中。
- 1~3号機原子炉建屋1階において、線量率への寄与が大きい箇所(ホットスポット)の調査のため、遠隔操作ロボット(かにクレーン:下図を参照)を用いて高所部のガンマカメラによる調査を実施中。
1階高所部汚染状況調査のための遠隔操作ロボット
燃料デブリ取出しに向けた格納容器内部の本格調査
- 燃料デブリやペデスタルの状況を確認するため、機器装置開発を検討中。
- 1号機、2号機の格納容器貫通口から調査装置を挿入し、ペデスタル開口部等の画像取得、線量、温度等を測定できる装置仕様について検討中。
事前調査項目とアクセスルート(案)
炉内状況把握・解析
- 炉内の状況をシミュレーションする解析コードの高度化及び解析を実施。
- OECD/NEAと共同で、福島事故解析の国際ベンチマーク解析プロジェクトを立ち上げ。
燃料デブリ性状把握・処理準備
- 燃料デブリ取出しに用いられる機器開発に影響する燃料デブリの物性値を整理。
- 模擬デブリを製作し、海水塩との高温反応に係る基礎データを取得。
- 燃料デブリの取出しから処置(保管・処理・処分等)について、処置シナリオ素案を作成し、一部の工程(デブリ貯蔵)について得失評価を実施。
今後の課題・対応の方向
燃料デブリ取出しに向けた中期的課題に対する継続的な検討
- 燃料デブリ取出しには、過酷環境下で調査・補修する技術の開発、未知の炉内や燃料デブリの状況・性状の把握等について国内外の叡智を結集することが必要。
- 機器・装置開発において、技術カタログを活用するとともに、国内外の研究機関、民間企業等の持つ技術を公募等により積極的に登用。
- 国際機関と連携し、我が国からの情報発信とともに、困難な技術の開発に関する世界の経験・知見を集積。
- 既存技術にて更なる現場調査を実施し、プラント状態の早期把握及び格納容器漏えい箇所調査・補修に向けた研究開発へフィードバック。
- 格納容器バウンダリの構築が不可能な場合の冠水代替工法を検討。