「総合除染試験」の版間の差分

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Kurata Masaki (トーク | 投稿記録)
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* 除染支援システムの整備(観測系、伝達系、建屋設備、等)
* 除染支援システムの整備(観測系、伝達系、建屋設備、等)


除染作業を進めていく上で、後者の目的に向けて、除染作業の実施自体が目的化してしまうことが教訓として報告されている。
除染作業を進めていく上で、後者の目的に向けて、除染作業の実施自体が目的化してしまうことが教訓として報告されている。[[ファイル:除染試験 1.png|サムネイル|600x600px|'''<big>図1 TMI-2の原子炉格納容器内の概略構成 [3]</big>''']]
 
== 除染対象エリアと機器・設備 ==
== 除染対象エリアと機器・設備 ==
 試験実施まで、様々な観点での計画修正が行われた。また、合計で39回の原子炉格納容器内のエントリーが行われ、現場状態の調査や予備的な除染作業が行われた。
 試験実施まで、様々な観点での計画修正が行われた。また、合計で39回の原子炉格納容器内のエントリーが行われ、現場状態の調査や予備的な除染作業が行われた。


 最終計画では、原子炉圧力容器上部周辺の主要機器・設備(RPV上の円筒形のサービスストラクチャーなど)、作業員の移動に利用される階段、作業員が主に作業を行う305フィートレベルと347フィートレベルのコンクリートや鋼材の壁面や床面、ポーラークレーンとその周辺、燃料交換Canal(最深部、浅瀬部)の壁面や床面、燃料交換ブリッジとその周辺、Dリング外周部と頂部(Dリング内部に蒸気発生器や加圧器格納)、ミサイルシールド、にしぼって除染作業が行われることになった。あわせて、除染試験の前後で現場サンプル採集と分析が行われることになった。
 最終計画では、原子炉圧力容器上部周辺の主要機器・設備(RPV上の円筒形のサービスストラクチャーなど)、作業員の移動に利用される階段、作業員が主に作業を行う305フィートレベルと347フィートレベルのコンクリートや鋼材の壁面や床面、ポーラークレーンとその周辺、燃料交換Canal(最深部、浅瀬部)の壁面や床面、燃料交換ブリッジとその周辺、Dリング外周部と頂部(Dリング内部に蒸気発生器や加圧器格納)、ミサイルシールド、にしぼって除染作業が行われることになった。あわせて、除染試験の前後で現場サンプル採集と分析が行われることになった。'''図1'''に、原子炉格納容器の概要を示す[3]。
 
 総合除染試験の開始時点では、建屋地階(282フィートレベル)に事故直後に放出された汚染水が滞留していた。その処理を行う'''SDS(Submerged )'''が設置され、稼働準備が行われていた。
 


 総合除染試験の開始時点では、建屋地階(282フィートレベル)に事故直後に放出された汚染水が滞留していた。その処理を行う'''SDS(Submerged Demineralizer System)'''が設置され、稼働準備が行われていた。建屋地階に向かう階段や、建屋地階のコンクリート壁面などは極めて高線量のため、除染作業の対象から外されることとなった。また、酸溶液や中性洗剤を用いた化学除染は、SDSへの影響を防ぐため、範囲を絞って実施されることtなった。


支援業務としては
 総合除染試験に向けた準備作業として、以下が行われた。


・ポーラークレーンへのアクセスシステム(spider shafter、リフト)の設置(305で載せて、347.6で下す)
* ポーラークレーンへのアクセスシステム(spider shafterと呼ばれるリフト)の設置
* 除染作業用の作業水供給系、電源系、圧搾空気系の整備(#本来の電源系統は282フィートレベルにあり、水没して使用不可だった)
* データサンプリングシステムの準備(γ線測定器、写真/ビデオ撮影機器)
* 閉鎖階段の除染系(高圧水、低圧水)の準備
* 剥ぎ取りコーティング剤の準備
* 除染工程、作業手順の作成


・除染水(10,000psig、流量)、480V AC power、100psi圧搾空気系統の整備
・データサンプリングシステム、γ分光、写真、ビデオ
・閉鎖階段の除染(高圧水、低圧水)、spider shafterによる347.6へのアクセスが難しい場合のプランB
・剥ぎ取り可能なコーティング305フロア、347.6設備表面、およそ700平方フィート
総合除染試験と総合除染計画の関係について、最初の13工程を記述
・パーソナルエアロック-2から閉鎖階段-2にエンクロージャー搬入、など
'''Fig.1-1. Data取得計画 総合除染試験計画と実行スケジュール'''
・被ばく線量が大きく、除染効果が小さい部分の計画は削除された
・計画された以外の作業は、再汚染を防止するために実施されていない
・化学除染の範囲は限定的、SDS(汚染水イオン交換塔)への影響を防ぐため
・まず、試験で必要となる設備治具を搬入、処理水系統を導入(25ガロン/分、水温華氏180)
・電気系統通電、spider用、305フィートレベルに(本来の電気系統は282.6にあり水没)
・Spider シャフトを搬入(ポーラークレーンへのアクセス)
・新たなラジオ交信系統搬入、のどマイク、イアフォン
搬入された設備は
・High reachプラットフォーム(高所作業用の足場)
・フォークリフト
・吊り上げデバイス(305から347.6への吊り上げ用)[[ファイル:除染試験 1.png|サムネイル|400x400ピクセル]]
[[ファイル:除染試験 2.png|サムネイル|400x400ピクセル]]
[[ファイル:除染試験 2.png|サムネイル|400x400ピクセル]]
[[ファイル:除染試験 3.png|サムネイル|400x400ピクセル]]
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[2] R.S. Daniels, Three Mile Island Unit 2 Reactor Building Dose Reduction Task Force, Nucl. Technol. 89 (1989) 553-555.
[2] R.S. Daniels, Three Mile Island Unit 2 Reactor Building Dose Reduction Task Force, Nucl. Technol. 89 (1989) 553-555.
[3] EPRI Report

2026年5月25日 (月) 09:18時点における版

 TMI-2事故炉のクリーンアップを進めるためには、作業員クルーが原子炉建屋内にルーチン的に立ちいる必要がある。そこで、1981.7月に、DOEが原子炉建屋内の総合除染試験を提案した。専門家のレビューを経て、当初計画では1981.11月から実施されることとなっていた。しかし、NRCによる承認の遅延、除染に用いる設備の機能確認試験の遅れ、などにより、1982.2.26 ~3.30にかけてTMI-2原子炉建屋内の総合除染試験が行われた[1]。ここでは、その概要と得られた知見をまとめる。また、総合除染試験が行われた翌年の夏に、原子炉建屋内の線量急上昇イベントが発生したため、除染項目を短期と中長期に分けて、現場対応が行われた[2]。その検討タスクフォースの議論も本項目にまとめる。

総合除染試験のねらいと目的

 原子炉建屋内でのクリーンアップ作業において、作業員が主に立ち入るエリアについて、以下が直接の目的とされた。

  • 空間線量の低減
  • 機器や壁面に付着している汚染の低減
  • 放射性微粒の低減
  • 物理的な作業環境の改善
  • ALARA概念に基づく除染作業の実施

さらに、事故炉を利用して、建屋除染に関するエンジニアリングやオペレーションについて、実機レベルでの総合試験の場を提供することで、以下に関する知見が得られるとされた。

  • 各種の除染技術の有効性と効果の検証
  • 除染基準策定に関する知見取得
  • 各種の除染設備や技術の現場試験
  • 除染作業員の訓練、および、現場作業手順書の作成
  • 現場線量のモニタリングと線量マップの作成
  • 除染支援システムの整備(観測系、伝達系、建屋設備、等)

除染作業を進めていく上で、後者の目的に向けて、除染作業の実施自体が目的化してしまうことが教訓として報告されている。

図1 TMI-2の原子炉格納容器内の概略構成 [3]

除染対象エリアと機器・設備

 試験実施まで、様々な観点での計画修正が行われた。また、合計で39回の原子炉格納容器内のエントリーが行われ、現場状態の調査や予備的な除染作業が行われた。

 最終計画では、原子炉圧力容器上部周辺の主要機器・設備(RPV上の円筒形のサービスストラクチャーなど)、作業員の移動に利用される階段、作業員が主に作業を行う305フィートレベルと347フィートレベルのコンクリートや鋼材の壁面や床面、ポーラークレーンとその周辺、燃料交換Canal(最深部、浅瀬部)の壁面や床面、燃料交換ブリッジとその周辺、Dリング外周部と頂部(Dリング内部に蒸気発生器や加圧器格納)、ミサイルシールド、にしぼって除染作業が行われることになった。あわせて、除染試験の前後で現場サンプル採集と分析が行われることになった。図1に、原子炉格納容器の概要を示す[3]。

 総合除染試験の開始時点では、建屋地階(282フィートレベル)に事故直後に放出された汚染水が滞留していた。その処理を行うSDS(Submerged Demineralizer System)が設置され、稼働準備が行われていた。建屋地階に向かう階段や、建屋地階のコンクリート壁面などは極めて高線量のため、除染作業の対象から外されることとなった。また、酸溶液や中性洗剤を用いた化学除染は、SDSへの影響を防ぐため、範囲を絞って実施されることtなった。

 総合除染試験に向けた準備作業として、以下が行われた。

  • ポーラークレーンへのアクセスシステム(spider shafterと呼ばれるリフト)の設置
  • 除染作業用の作業水供給系、電源系、圧搾空気系の整備(#本来の電源系統は282フィートレベルにあり、水没して使用不可だった)
  • データサンプリングシステムの準備(γ線測定器、写真/ビデオ撮影機器)
  • 閉鎖階段の除染系(高圧水、低圧水)の準備
  • 剥ぎ取りコーティング剤の準備
  • 除染工程、作業手順の作成

参考文献

[1] E.N. Lazo, The Three Mile Island Unit 2 Reactor Building Gross Decontamination Experiment, Effects on Loose Surface Contamination Levels, Nucl. Tecnnol. 89 (1989) 407-420.

[2] R.S. Daniels, Three Mile Island Unit 2 Reactor Building Dose Reduction Task Force, Nucl. Technol. 89 (1989) 553-555.

[3] EPRI Report